情報処理学会 第46回全国大会発表の抄録
気象衛星ノアHIRS/2画像の分類(1) 竹本英治、工藤純一、根元義章
米国の気象衛星ノアには、赤外チャンネル19・可視チャンネル1の計20チャ
ンネルから成り立つHIRS/2(High Resolution Infrared Radiation
Sounder/2)が搭載されている。
また、同時に気象衛星ノアにはAVHRR(Advanced Very High Resolution
Radiometer)も搭載されており、表1のようにAVHRRはHIRS/2と比べ
てチャンネル数が少ないものの解像度が高く、気象や地目の解析に用いられてい
る。
HIRS/2は大気の垂直温度分布・オゾン分布の観測を主目的としているが、
解像度が低くデータの格納方式が複雑であるため、HIRS/2を用いた研究報
告は少ない。
本報告では、HIRS/2データを用いて地球半球の射影像を3次元画像とし
て表現し、2つ以上のチャンネルの放射値の相関から海の部分の抽出を試みた。
表1 観測センサの諸元
センサ HIRS/2 AVHRR
チャンネル数 可視1・赤外19 可視1・赤外4
走査角 ±49.5゜ ±55.4゜
走査幅 2239.8km 2930.2km
走査時間 6.4sec 1/6sec
ステップ数 56 2048
ステップ角 1.8゜ 0.054゜
ステップ時間 0.1msec 0.0813msec
視野角 1.25゜ 1.3mrad
解像度(直下) 17.4km 1.1km
気象衛星ノアHIRS/2画像の分類(2) 工藤純一、竹本英治、根元義章
米国海洋大気庁の気象衛星ノアは、平均高度約833km、周期約102分の
極軌道衛星であり、ノアに搭載されているTOVS(TIROS Operational
Vertical Sounder)センサのHIRS/2(High Reolution Infrared
Sounder / Second Version, 改良型高分解能赤外放射計)は赤外データ19、
可視データ1の合計20チャンネルから構成されている。
これは、大気の高さ方向の温度分布とオゾン分布の観測を目的としているが、
空間分解能が約17.4km(直下)〜50km(周辺)と大きく、また、デー
タ格納方式が複雑で、非専門家が画像として展開するのは困難なので一般にHI
RS/2を用いた研究報告は、一部のオゾン分布の導出などを除いて少ない。
しかし、20チャンネルのデータは多次元画像処理を行なう研究材料として好
都合であり、また、HIRS/2センサの赤外チャンネル特性のうち、主要な吸
収気体はCO2やH2Oなどであり、温度やオゾン分布以外の情報抽出の可能性
が考えられる。
さらに、地球環境問題へのアプローチ手段に応用できる可能性もある。
このように、HIRS/2データの有効活用の目的を多次元画像情報処理の手
段を用いて行なうための基礎研究の第一ステップとして、本報告では画像カテゴ
リの分類を試みた。